作曲家の為の秀逸コード進行7(映画、リメンバー・ミー)
ちょいネタバレ注意です。
公開から2年経っているのでまぁ大丈夫だとは思うが一応エチケットとして(^^;
ピクサー(ディズニー映画)のリメンバー・ミー、公開からもう2年経ってはいるが再び観る機会があった。
とてもいい映画だがお盆の時期に見るのもまたいいものである。
もうお盆も終わるがおススメしたい。
ディズニー映画で使われる音楽はいつも秀逸であると感じる。
観る人がストーリーに更に感情移入でき、感動できるる為の重要な要素になっている。
今回は主題歌「リメンバー・ミー」のコード進行について前半8小節だけ。
リメンバー・ミー(key=C)
| C ·/· ·/· ·/· |Fm ·/· ·/· ·/·|C ·/· ·/· ·/· |B♭ ·/· E7 ·/· |
| Am ·/· ·/· ·/· |Gm ·/· C7 ·/· |FM7 ·/· ·/· ·/· | Dm7(♭5) ·/· F/G ·/· |
一聴するとシンプルで歌詞がよく聴こえてくるストレートな曲に聴こえるが、こうやってコード進行を見てみるとノンダイアトニックコードが多く使われている。
俺もそうだが、ダイアトニック以外のコードを使う時は「聴き手をグッと引き込みたい」という思惑を持って使う。
泣きのメロディー同様泣きのコード進行みたいな感じだ。
この曲もその要素を盛り込む事でこの歌の切なさを強調し、ひいては映画そのものを感動的なストーリーへと仕上げるのに一役かっている。
曲のアタマから順にコード進行見て行く。
| C ·/· ·/· ·/· |Fm ·/· ·/· ·/· |
Fm、これはサブドミナントマイナーコード。
キーがCだと本来はFだがCmのキーから借りてきたコード。
ここだけマイナーキーになるような感じなので切なさ強調の効果があるといったところか。
| B♭ ·/· E7 ·/· |Am ·/· ·/· ·/· |
先にE7についてだが、これはキーがAmの時のドミナントコード。つまりAmキーからのコードの借用となる。
これによってAmへの進行がドミナントモーションとなり、なんと言うか強い進行に聴こえる効果がある。(ドミナントモーションが何故強い進行なのかについてはまた機会があったら説明したい)
この場合E7の前のコードも借用でⅡ Ⅴ7とする事が多い。
なので本来ならBm7(♭5)となるのだがこの曲のB♭は珍しいタイプでこんな技法も用いられるのかと勉強になった。(俺が知らなかっただけかもしれないが...)
B♭単体で見るとCmキーからの借用となる。
| Gm ·/· C7 ·/· | FM7 ·/· ·/· ·/· |
Gm C7もキーCでのコードではないよね。
これはキーFにおけるⅡ Ⅴ7。
局所的にキーをFとみなして、キーFにおけるⅡ Ⅴ7としている。よく使われる手法。
| Dm7(♭5) ·/· F/G ·/· |
これはⅡ Ⅴ5だがⅡがノンダイアトニックだ。本来ならDmだがCmキーからの借用でDm7(♭5)となっている。
正直この使い方は初めて見た。(これも俺が知らなかっただけか?)
Fm同様サブドミナントマイナーコードである。
F/Gは本来のキーのコード。
ドミナントコードの仲間だ。
Ⅳ/Ⅴのこのコードはもしかしたら正確にはドミナントコードと呼ばないのかもしれないが、使い方はドミナントコードのように使う。
Gをトニックとしてコード表記すると
Gsus4(7 9)となる。ドミナントコードをリッチな響きにさせたい時とかこういう使い方をしたらよいのかと。
FM7/GとしたらEの音が追加されるのでGsus4(7 9 13)となりテンションマックスの更にリッチな響きに。
どちらもドミナントコードのように使うが、sus4となっていて本来のドミナントコードと違って3度が半音高くなっている。
故にドミナントコードとは音が当たってしまうので同時に発音することはできないので注意したい。
この曲コードをよくよく確認してみるとノンダイアトニックコードの使用が意外と多い。
| C ·/· ·/· ·/· |Fm ·/· ·/· ·/·|C ·/· ·/· ·/· |B♭ ·/· E7 ·/· |
| Am ·/· ·/· ·/· |Gm ·/· C7 ·/· |FM7 ·/· ·/· ·/· | Dm7(♭5) ·/· F/G ·/· |
(AmとFM7はキーCでもダイアトニックコードだが解釈上ノンダイアトニックに分類してみた)
つまり
パッと聴いた感じの印象よりは凝ってるぞ!
とw
この映画、亡くなったご先祖様が年に一回家に戻ってくる「死者の日」というのをテーマに物語は進んで行く。
通常このような映画は架空の国や地域が設定されるがこの映画の舞台はメキシコだ。
主人公が映画の中で言っているので間違いない。
ラテンアメリカ諸国、メキシコにおいて「死者の日」というイベントは本当にある。
日本の「お盆」とまったく同じだ。
舞台がメキシコなので音楽もラテン音楽一色で物語は進む。
これもまたとてもいい感じなのだ。
主人公(ミゲル)のご先祖様、ひいひいおじいちゃん(ヘクター)はミュージシャンだった。
ヘクターはまだ小さな子供がいたがツアーの時は長期間家を空けなければならない。
ツアーに出る時子供に歌ってあげていた曲が「リメンバー・ミー」である。
そして物語の進行上このリメンバー・ミーは3バージョン歌われるのだがこれがまたどれもいい!
とても感動できるので観てない人にはおススメだ。
お盆の時期(もう終わってしまったが)家族で観るのもいいだろう。
まだ小さな子供がいる方はライブやツアーに出る時はリメンバー・ミーを歌ってあげたらいい。
ただし通用するのは子供が小さな内だけだ。
中学くらいになってしまえば親など家にいない方が子供にとっては好都合なのである。