作曲家の為の秀逸コード進行3
今日は日本を代表するアイドルグループ「嵐」のヒット曲に仕込まれたスパイシーなコードワークについて。
Monster(嵐)
(作曲:CHI-MEY)
[J-POP] 2010 Monster [ARASHI](아라시)
1:20からサビの部分を聴いてみるとなんか
冒頭からいきなり香ばしい感じで...
これは何だ?
サビのコードだ。
E♭ G♭ Fm G7 G7/B
Cm7 B♭ A♭ A♭/B♭
E♭/G A♭ B♭ G7/B
Cm7 B♭ A♭ A♭m B♭
赤字、サビ2小節目のG♭がもういきなり臭う。
これは何かと言うと同主調であるE♭mから借りて来たコードだ。
同主調とはお互いに主音が同じ長調(メジャー)と短調(マイナー)の事である。
この曲の場合はキーがE♭なのでE♭mキーから借りて来たコードだ。
メジャーキーの曲がいきなりマイナーになるのだ。
一瞬ではあるがこれも部分転調だ。
これをサビ2小節目、コード2つ目でいきなりぶっ込んで来るからエグいのである
後はこの曲のサビ、前半と後半で同じメロディーを違うコード進行で聴かせているというのもいいアイデア!
他セカンダリードミナント、サブドミナントマイナー、コードの転回系などうまく組み合わせて作られてる。
フックがてんこ盛りの曲だ。
試しに、この借用コードは使わず、キーの本来のコードを使い、他セカンダリードミナント、サブドミナントマイナーなども使わずダイアトニックコードだけ使い、さらに転回系を使わずに作ってみたらこうなった。
なんかこう薄味である。物足りない。
でも本当の事を言うと、もっとつまらなくなるんじゃないかと思ったがこれでも十分いい曲だw
さすがはジャニーズのコンペを通るだけの事はある。
やはりメロディは重要である。
一応聴き比べしやすい様にオリジナルの方も作っておいた。
やはりこっちの方がこうパンチとメリハリがある!
曲の中で聞くと9小節目のトニックの第1転回系も効果的だとわかる。バシッと決まるべきトニックコードに少し浮遊感を与え、次のサブドミナントコードの根音に半音でアプローチするというのがスリリングなのだろう。たかが転回系でも曲の構成の中では効果的なのだ。