俺とベース

俺の好きな音楽とベースと機材と... 「みんな名曲、名演、名機なのだ」

ベーシストの為の秀逸ベースフレーズ1

ベーシストなら曲に対してどのようなベースラインを書こうかというのはいつも考えさせられる事だ。

 

試行錯誤してもなかなかしっくり来ず「これでいいのか?」と暗礁に乗り上げてしまう時もある。

かと言えば驚くほど簡単に「この曲にはこれしかない!」というフレーズを掴める時もある。

 

しかしどんな時でもその時の自分のベストを尽くして仕事を終えなければならない。

 

その曲に対してのベースフレーズのセレクトはその人のセンス。

 

そしてそのセンスはその人の過去の音楽的蓄積から創られてると思う。

 

俺は過去多くのベーシストのフレーズやプレーに感動させて頂いた。

 

今後も悩める時は先人の偉業からヒントを貰えるよう、覚え書きとしてここに記して行こう。

 

 

今回の曲は

シリーラブソング(ポール・マッカートニー&ウイングス)

Silly Love Songs(Paul McCartney & Wings)

(ベース:ポール・マッカートニー)

youtu.be

 

この曲で「秀逸ベースライン」だと感じた部分はヴァースとコーラス。この曲、ブリッジ以外はヴァースもコーラスもインタールードも同じバッキングとなっており、これらのセクションが曲の大部分を占める。

 

聴いてみるとイントロのリズムインの部分から躍動感があり、かつメロディアスなベースラインが聴こえて来る。気分がウキウキしてくるようなベースラインだ。

 

この曲のヴァース、コーラス等のコード進行は、

 

C           Em             F           F  

 

である。

 

よく動くベースラインの割には思ってたよりもシンプルなコード進行で驚く。

 

我々がベースフレーズを書いて行く時に、まず譜面のコード進行を参考に曲のノリ、メロディー等を踏まえ、ベースをイメージしていくと思う。

 

もし俺なら現場で曲を聴き、コード譜を見た時にこのベースは書けるだろうか...

譜面ヅラのコードに縛られずポンッと一歩だけ飛び出れるようなセンスと発想が必要とでも言おうか...

 

後出しジャンケン的に言わせてもらえば、コード進行を

 

C  C/G  Em  Em/G  F   F/A

 

のように小節の3拍目で転回形として、その間を経過音で繋いでるとも言えなくないが完全に後付けだ。

こんなコード譜はおそらく書かれてないだろう。

サラッとこのフレーズが湧いてくるセンスが羨ましい。

 

 

このベースがウキウキとした躍動感を感じるのは書かれたフレーズだけの賜物ではない。

 

ポールの素早く振り抜くピッキングのスピードと音符の長さの使い分けなどプレー面にもある。つまり、最後はやはり右手と左手の絶妙な技が決め手となる。

 

聴いてみるとコードC1小節はスタッカートで弾ききり、次Emからはテヌートとスタッカートをうまく織り交ぜた作りとなっている。この音符の長さの使い分けもこの曲のベースのノリのキモである。

※スタッカート:表記の音符の半分の音価で演奏

 

(本来なら譜面を用いた詳しい解説をしていくところだが長くなるので今回は省かせてもらう)

 

この曲のプレー、指弾きでも弾けない事はないだろうが、ポールのベースサウンド特有のアタック感はやはりピック弾きによるところが大きいと思うのでできればピックで弾いて欲しい(笑)

 

最後に、このSilly Love Songsという曲は何を歌っているのかと言うと、

 

「ラブソングなんて馬鹿げたもんだと思ってるようだが俺はそうは思わない!ラブソングの何が悪いんだ?」

 

まぁ大まかに言うとこう言う内容。

 

一説には音楽評論家から「ポールはラブソングしか歌わない」という批判を受け、それに対するアンサーソングだったと言われている。

 

批判に対しこのような素敵な曲で返す事が出来るというのもミュージシャンの素晴らしいユーモアだと思う。

 

俺もこうあれたらどんなに素敵な事だろう...

 

 

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