俺とワイアレス
昨今ギタリスト、ベーシストの間ではワイアレスシステムの導入がかなり一般的になりつつある。
その理由はなんと言ってもワイヤレスシステムの低価格化だろう。
ギタリストやベーシストの為のワイヤレスシステムは昔からあったがそれはそれは高価格だった。
なので大きな会場に人数を動員でき、広いステージを動き回るパフォーマンスが必要な人のみ使用の資格ありという印象だった(経済力含む)
安価なものもあったがレイテンシー、音質劣化は無視できるレベルではなかったので実際はおもちゃにしかなっていなかった。
それが今ではメーカーさんの技術開発努力によりレイテンシー、音質劣化も極限まで抑えた低価格ワイヤレスシステムが実現し、誰もが気軽にワイヤレスシステムを使える時代が到来したというわけだ。
かくいう俺もワイヤレスデビューをしたのはほんの半年前。
それ以前はワイヤレスにはほとんど興味なかったのだが、一度使ってしまってからはケーブルからの開放感がたまらず今ではスタジオのリハーサルでさえワイヤレスだw
常にボードに組み込んであるのでわざわざ外すのが面倒というのもあるが。
ワイヤレスデビューして半年と言ったが、訳あってこの短期間で2モデルのワイヤレスを所有する事になった。
そして毎日使う事でそれぞれのメリット、デメリット、次はここが改善されてる物を選びたいなぁなど色々見えてきたのでレビューを書きたい。
「そろそろワイヤレスデビューしたいなぁ」と思ってる人は参考になればいいと思う。
俺が最初に買ったのはコレ!
BOSS WL-50
LINE6のRelayシリーズからワイヤレスシステムが一般化した感があるが、BOSSもこれでその市場に参戦した感じだ。
「あのBOSSさんの新製品」というところでも期待感は高まった。
使ってみるとやはり期待を裏切らない感じだ。
レイテンシー2.3msは演奏上全く気にならない。
音質も非常にクリアである。何というか余計な帯域が少し削られてるのかどうかは知らんがむしろケーブルの音より好きな感じだw
そして使い勝手も良い!
レシーバーはBOSSのペダルエフェクターと近いデザインとなっておりボードにも組み込み易い。おまけに他のペダルに電源供給可能なDCアウト端子もある。
この小型トランスミッターはレシーバーにドックさせると約10秒程で回線に自動接続される。後は楽器に接続すればもう演奏可能だ。メーカーさんの謳い文句「ケーブル感覚で使えると」いうのはまさにその通りだ。
レシーバーとトランスミッター合わせてBOSSのペダルと同じ大きさなのでケーブルより小さいし軽いのでむしろこちらの方が運搬性もいいと言える。
バッテリーは充電式でレシーバーにドック時に回線接続と同時に充電もされる。マイクロUSBの充電端子もある。サウドチェック終了後にレシーバーにドックしとくもよし、モバイルバッテリーで充電するもよしなのでバッテリー切れの心配も少ない。
ここまで全くデメリットはないのだが、唯一のデメリットはトランスミッターのこの形状である。
俺は普段ジャズベースを使う事が多いが、ジャズベのジャックに接続した場合この小型トランスミッターは前方に突起する形となる。
これは演奏時気を付けないと壁やマイクスタンドなどに「カツン」とやった瞬間もう終わりだ。
それは購入前から気にはなっていたものの、それでも商品化されるくらいだから意外とその部分をぶつける可能性は低いんだろうくらいに思っていた。
ケーブルのプラグだって同じくらい突起しているがぶつけた記憶はない。
しかしその希望的観測は裏切られ、購入1カ月で見事に破壊した。
接続と同時にスイッチオンする感知部分も破損したのでもう使用不能なのにランプが点灯してるのが切ない。
翌朝ランプは消えていた。夜の内に息を引き取ったようだ。
仕方なくトランスミッター(別売り)のみ購入したが、ある日演奏時のアクションが特に激しいタイプの演奏者に貸してあげたところ演奏開始10秒で破壊した。
曲はまだイントロだった。
やっと気付いた。
これは本番用ではない。
練習用だ。
本番でももちろん使えない事はないが、ロックなど激しく動きたくなるような音楽には不向きと言わざるを得ない。
ネガキャンするのはメーカーさんに悪いとは思うが、トランスミッター2台破壊した俺なら言ってもいいだろうw
そしてその破壊した演奏者が申し訳ないからと言ってプレゼントしてくれたのがその人が使ってた中古のLINE6だった。
ご存知Relay G30!
今はこれをメインで使っている。
トランスミッターは一般的なストラップやベルトに着けるタイプ。
やはり本番ではこの形状が安心だ。
今のところこれに不満はほとんどない。やはりヒットするだけの事はある。
しかしレイテンシーは2.9msとBOSSのWLシリーズの方が僅かではあるが優れている。
ここで低価格ワイヤレスのチェックポイントをまとめておく。
各メーカー技術開発努力により演奏上気にならない(人間の感覚では感知できない)レベルまでレイテンシーを抑える事に成功しているが、低価格帯の商品の中ではまだ差があり、中には結構遅れるものもあるので購入の際は注意したい。
例えば王者BOSSのWL-50はレイテンシー2.3ms、LINE6 Relay G30は2.9msと大手企業はかなり優秀な数値だが、これまた巷でよく見かけるXVIVEは6msだ。
大手でもゼンハイザーのXSW-Digitalは4ms。
これは演奏にとって最重要事項なので2019
年6月23日現在、低価格帯ワイヤレスシステムではBOSS WL-50で2.3ms、これを基準にあまりに数値の高いものはやめた方が無難だ。
●バッテリーの方式
主に乾電池2本のタイプかリチウム充電式か。
一般的には乾電池式の方が使い勝手はいいと言われるが俺は充電式も結構便利だと思った。
乾電池式の場合はエネループなどを使わないと金食い虫だ。
充電式はコスト面でメリットがあると思う。
しかし充電式は使っていくとスマホの様にバッテリーがへたっていつかは買い替えだ。
これに関しては一長一短だ。
●バッテリーの連続使用可能時間
これは結構差が出る。
BOSS WL-50は12時間
LINE6 Relay G30は8時間
XVIVEは5時間
俺の場合、例えばサウンドチェックに1時間かかってその後30~40分にステージを4、5回こなす現場があったとして(それハコバンやんw)LINE6の8時間はまぁ安心だがXVIVEの5時間だと数値上はセーフでも気持ち的には不安である。
これは自分の使用目的を踏まえて余裕ある駆動時間で選びたい。
●バッテリー残量の視認性
使っていてバッテリー残量がわかりやすいものがもちろんいい。
LINE6 Relay G30は残量がレシーバーでメーター表示なのに対し、BOSS WL-50はトランスミッターにランプの色と点灯か点滅かにて表示。
これはわかりずらいし本番中にトランスミッターなどわざわざ注意して見ない。
フロア型レシーバーにメーター表示はわかりやすいし目も行きやすい。
●トランスミッターの形状
これは前述の通りトランスミッターが楽器のジャックからニョキっと突起するタイプは本番での使用はかなり危険だ。個人的には絶対お勧めしない。
中には練習メインで本番は少ないしという人もいるだろうが、ワイヤレスの開放感を知ってしまうと本番でも使いたくなるものである。本番で使う事も想定して選んだ方がいいだろう。
ストラップかベルトに装着するタイプが絶対に安心できる。
●レシーバーの形状
XVIVEの様にレシーバーが「楽器のジャックからニョキっと型トランスミッター」と同様の形状をしてるものもよく見かける。
これはフロアボードの中で意外と収まりが悪く、楽器側同様「カツン」と蹴飛ばせばそれで終わりの可能性も高い。
BOSS WL-50のようなフロアペダルタイプがお勧めだ。
ボードに組み込み易くパワーサプライ機能もある。
SHUREのGLXD16J-Z2は何とチューナー機能付き。踏めばチューナーモードになりその時は音はミュートとなる。便利だ。
●アクティブ非対応について
アクティブのギターやベースを使う人も多いと思うがアクティブ非対応のモデルもあるので購入前に絶対確認しよう。
例えばLINE6 Relay G10はアクティブ非対応。
以上「失敗しないワイヤレス選び!」のチェックポイントでした。
使用目的や使用環境は人それぞれなので各々に合った物を選べばいいと思う。
予算もあるだろうし妥協点も出てしまうだろう。
ちなみに上記のチェックポイントを踏まえて全てクリアしてる低価格帯ワイヤレスがあったので紹介します。
何と今月末発売!
BOSS WL-50の後継機!
言うなら俺が挙げたWL50のデメリットが全部解消された機種。
もう俺は持ってるから買わないけど、もしこれから購入したい人とかいたらお勧めです。本当は俺も欲しいw