俺とコンプ
ベーシストにとってコンプレッサーは心強い味方だろう。
他の楽器のプレーヤーよりは使用する事も多く、ライブやレコーディング時、PA的なコンプレッサーとは別に弾き手がフロアボードに組み込んでる事も多い。
中には「漢は黙ってアンプ直!」という方もいるだろうが。(俺も以前は10年以上それだったw)
ベーシストにとって身近なコンプレッサーだが、やはりいつまで経っても難しいと言われるエフェクターではある。
理由は先ずつまみの設定における効果の違いが分かりずらく、どのように設定したら良いかわからないというのはあると思う。
例えば歪み系であれば「ゲイン」や「ドライブ」と言ったつまみを上げて行けば歪み成分が増していくと言った感じで、これは誰が聴いてもわかる効果だ。
しかしダイナミクス系エフェクトであるコンプレッサーは信号の大小をコントロールするものなので効果が分かりずらいのだ。
さらに「アタック」や「リリース」といった部分を設定していくとなったら時間軸に対する効果も見ていかなければいけないのでこれもまた分かりづらい原因の一つだろう。
そしてコンプを扱った記事を見ても「つまみの設定例」というものは実はあまり出てこない。何故ならコンプというエフェクトは入力信号の大小に対して作動するものなので、楽器の出力、弾き手のニュアンス(つまりコンプに入力される信号の大小)によって効果が変わってくるので「つまみの設定例」みたいなものはあまり意味がないのだ。
ではどのようにこの難しいコンプレッサーを研究して行けばいいのかと言うと、コンプを使う目的と最終的な音のイメージを明確に持つ事だと思う。
例えば「コンプを使うとヘタになる」というような事をたまに聞くがそれは嘘である。
コンプを使ってバラツキのあるピッキングを均一にしようというのは先ずもって使い方が間違ってるんじゃないかな?
そんな使い方も出来るのかもしれないけど。
ヘタになるのではなくてそもそも下手クソなんだから先ずそこはちゃんと弾けるように練習しよう。
「プレーにダイナミクスがなくなる」というのも俺はちょっと違うんじゃないかと。
音楽的に必要なダイナミクスまで均一化されてしまうようなセッティングにはそもそもしない。
では俺がコンプを使う目的を一言で結論から言ってしまうと
「休符をくっきりプレーできる為」
である。
(そうなると休符の重要性という話になってくるが、そうなるとそれだけでひとブログ~本一冊というボリュームになってきてしまうのでそこは省略。今回はコンプの話なので)
コンプは時間軸で言うところの「アタック」の部分ももちろん重要で作り込むのだが、俺はアタック後、人間のコントロール下を離れてしまった「サスティーン」の部分に対する効果を期待してコンプを使っている。
例えばスローの曲だったらベースがロングトーンの全音符だったりする事はよくある。
しかし譜面上は全音符で書いてあっても実際は次の音を弾く前には16分休符、または32分休符を入れてるのだ。それによってただ全音符を弾いていてもその曲のノリやビートを感じさせる事ができるのだ。ベーシストとは影で細やかな仕事をしてるのである。
スローテンポでなおかつ全音符となるとテンポにもよるが次の休符までにはサスティーンは相当減衰してしまう。そうなるとせっかくの休符のプレーがくっきりしないのだ。
「音符」→「休符」→「音符」の音価をはっきり聴かせたいところを「休符」の直前の「音符」のケツの音が無音に近くては意味がない。
そこでアタックをある程度圧縮し、圧縮したアタック部分に音量的に余裕を作ってあげればその分全体の音量を底上げできる。
そうすれば音楽的に必要なサスティーンが稼げるので休符をくっきり聴かせる事も出来るし、本来減衰してた部分が埋まるのでそれがベースの音圧になりバンド全体を牽引できるベースサウンドになるのだ。
俺はそこの部分を目的にいい感じを得られるようコンプレッサーの各つまみを日々いじくってるが、やはり難しいには難しいのだ。
俺がコンプレッサーに期待する部分はほんの一例であり人それぞれでいいと思うが、何をするにしても目的とそれを達成させる為の行動を明確にするというのは重要である。
音楽も仕事も人生も...
最後に俺の歴代ダイナミクス系エフェクトを。
BOSS Bass Limiter Enhancer
これが俺のエントリーだった。
ダイナミクス系エフェクトの基本中の基本である「レシオ」と「スレッショルド」を勉強できた。
圧縮して物足りなくなる「輪郭」の部分を「エンハンス」というつまみで取り戻せるというのも初心者には有難い機能だった。
MXR dyna comp
元々ギター用に設計されてるがベースでの愛用者も多い。
キャラのクセが強く、歪みと共に強く圧縮される感があるが「これがロックだぜー!」という感じで自分にハマればこれもアリだと思う。
EBS MULTI COMP
恐らくサンズアンプベースドライバーDIの次くらいに使った事がある人は多いのではないか?という印象。(統計取ったわけではないので実際は知らんがw)
マルチバンドという名の通り、高域と低域に分けてかかり具合が設定できるのでちょっと高機能。でもやはりこれのキャラになってしまうってのはあるねw
そして現在がこれ!
Inner Bamboo Ultimate Comp Ⅱ
これは俺が解説するより江川ほーじん氏のブログを読んで欲しい。
しかし「閲覧注意」だ!
これを読んでしまうと買いたい衝動を抑えられない可能性が高い!
それくらいこのコンプの魅力をしっかり伝えてくれる素晴らしいブログだ。
実は俺、このブログをうっかり読んで購入に至ってしまったw
しかもフロア型コンプとしてはお世辞にもお手軽価格とは言えないシロモノなので読みたい人は散財覚悟で自己責任でどうぞ!↓↓↓